プロダクトの名前を考える方法
最終更新日: 2020-07-10
「いい名前が思いつかない!!」
アプリやサービスがもう少しで完成しそうなのはいいけれど、いい名前が出てこない!
みたいなこと、ありますよね。
しかも、考えようとすればするほど出てこない!
今日は私が実践している、プロダクトの名前を決める方法を紹介していこうと思います。
私が名前を決めるときは、次の段階に沿って進めていくことが多いです。
- あつめる
- こねる
- ねかせる
- へらす
- きめる
それぞれひとつずつ紹介していきますね!
あつめる
最初は「あつめる」段階です。
お茶でも飲みながらリラックスしてやっていきましょう。
この時点では、出てきたアイデアそのものが名前ではなくて十分です。
名前の材料となりそうな「キーワード」を揃えていければOKです。
そのかわりに数を出していきましょう!!
まずは自分のプロダクトの特徴を書き出していくことからやっていくのがいいですね。
プロダクトの特徴は仕様や機能、と置き換えてもいいと思います。
特徴から派生して思いついたものをどんどん書き留めていきます。
プロダクトの特徴以外にもキーワードの起点になりそうなものはいろいろあると思います。
- 自分がユーザーに伝えたいこと
- プロダクトを作るときに利用していた場所
- もし、動物や虫で表現するとしたら?
- もし、楽器や効果音で表現するとしたら?
- 色はどんな色か?
- 有名人に例えるなら誰か?
- 映画や漫画、ゲームのタイトルやキャラクターで似ているものは?
「あつめる」は自由な世界です。
自分が考えているアプリやサービスの特徴やユーザに伝えたい内容とかいろんなものを考えていきます。
出てきたものから、さらに派生させていきましょう。
たとえば最初にライオンと言う動物を思い出したとしたら、百獣の王、黄色の体、ネコ科、動物の王様、哺乳動物とかいろいろ浮かんでくると思います。
鳴き声なんかもいいですね。
まさに連想ゲームみたいな感じですね。
ひとつの言葉を思いついたらそこから広げていくと言う発想もすごく重要です芋づる式にいろんなものが浮かんでくると思いますそれを自由にのびのびとやっていきましょう。
こうしてキーワードを集めていくと 自分の心に、「引っかかる」キーワードが現れてくることがあります。
出てきたキーワードは「優先度」を付けて並び替えておきましょう。
プロダクトのコンセプトにすごくよくフィットする言葉はありませんか?
または、なんとなくだけど、好きかもしれないと思った言葉も優先度高いと思います。
一見これは関係ないかもと思うものでも遠慮することなくどんどん書いていきましょう。
あとで見返したときに意外とそういったものでも参考になることがあると思います。
私の場合はEvernoteに浮かんできたキーワードを書いておいて、名前の素となるものを書き留めていくやり方をしています。
書く場所は何でもよくてノートとか紙に書いてもいいと思いますし、お好きなメモができるツールを何か使っていくと良いでしょう。
こねる
次に「こねる」についてです。
この段階から集めたキーワードを参考にして具体的な"名前"を作っていきます。
キーワードを眺めながら、次のような問いを立てていきます。
気持ちをリラックスさせて、自由に楽しんでやっていきましょう。
- 組み合わせるとどうなるか?
- 一部を省略するとどうなるか?
- 英語(外国語)にすると?
- 漢字にすると?
- 昔の言葉、言い回しにするとどうなるか?
- 擬人化させるとどうなる?
- そのまま言ってしまうのはどうか?
「組み合わせるとどうなるか?」
集めたキーワード同士をつなげてみたり、文字を言い換えてみたりして、自分だけの名前を探していくやりかたですね。
私のプロダクト、「Mooback」もこの組み合わせるやり方がベースになっています。
MoobackはMood(気分)とFeedbackを掛け合わせた造語です。
ダジャレみたいな感じですね。
「一部を省略するとどうなるか?」
キーワードの一部を削ってみたり、少し変えてみるというのも面白いと思います。
「英語(外国語)にすると?」
キーワードを英語に置き換えてみると違った語感、文字になって、新しい存在感が生まれてくるかもしれません。
外国語に置き換えるときに悩ましいのは意味がほぼ同じになるかがネイティブの方じゃないと判別しずらい場合があることです。
決めた後に実は少しニュアンスが違う、みたいなことがわかると気持ちの維持が大変で辛いのでこの時点でしっかり確認しておいた方がよいと思います。
できれば、ネイティブの方や帰国子女の方に軽く相談してみるのがいいですね。
「漢字にすると?」
漢字も面白いですね。
1文字でも意味が伝わるのが漢字の面白いところだと思っていて、短い文字数でもかなり多くの内容を伝えることができると思います。
「昔の言葉、言い回しにするとどうなるか?」
今はあまり使われないような、昔の言葉を使ってみるのも手ですね。
昭和、大正、明治、江戸みたいに日本の時代ごとの言葉を調べてみたり、キーワードをそのときの言葉に置き換えてみると新しい発見があるかもしれません。
「擬人化させるとどうなる?」
「xxくん」とか「yyちゃん」みたいに呼称をつけてみるやり方ですね。 主に親しみ感があがると思います。
「そのまま言ってしまうのはどうか?」
実は、キーワードがそのまま名前になるパターンです。 こねていて詰まったときに、一度落ち着いてみるとこのパターンが発生するケースが多いような気がします。
「あれ、これそのままでいいんじゃないの?」
ねかせる
ある程度出し切ったなぁと思ったら、「ねかせる」段階に移行しましょう。
これは一旦考えついたアイデアから離れる行為です。
他のことをやって過ごす時間です。
ところが、面白いもので「こねる」がちゃんとできていると、他のことをやっているときに、どこか奥底で名前を考えている瞬間が発生するようになります。
この、頭の中のどこかでゆっくりではあるけれど、こねている状態が出現することが「ねかせる」の効果だと思います。
かえって自然と頭の中ではネーミングを考えているような状態になるんですね。
たとえば食事をしながらであったり
散歩をしながらであったり
お風呂に入りながらであったり
いろんなことをやって過ごしている過程の中で実はほんとにごく少量かもしれないけれども名前を煮込んでいくタスクが頭の中で走っているような形です。
開発者の言葉でいうとバックグラウンドでバッチ処理がゆっくりと走っているような状態かもしれませんね。
で、そういった状態をお勧めしているのは何も自分だけじゃなくて
外山滋比古先生という人が思考の整理学という本の中でもアイデアを整理するにおいては寝かせることの重要性を書かれています。
他にもアイデアの作り方という本があるんですがこの中でもアイデアを出し終えたら、アイデアをひとまず寝かせてみることの重要性が書かれています。
わりと常套手段なのかもしれません。
そして自分の経験からも、意外とこのねかせている過程の中でふと浮かんできたものの方がとても良いネーミングだったり、筋が良いネーミングだったりすることが多いような気がしています
自分自身が納得できる感覚です。
ある程度時間に余裕がある場合にはこの「ねかせる」という工程をぜひ取り入れることを強くお勧めします。
へらす
ここまで来れば、あと少しです。
次は「へらす」という行程です。
名前の候補に以下のようなチェックポイントを当ててみて、ふるいにかけて絞り込むことをやっていきます。
- 同じ名前ですでに何か存在していないか
- ユーザーが不快にならないか
- 検索にヒットしやすそうか
- わかりやすいか、覚えやすいか
- ターゲットユーザーの好感度はよさそうか
- カタカナやアルファベットに変換されたらどうなるか
- 打ち間違いやすい文字や単語が含まれていないか
- 想定している使われ方をしたときに見栄えがいいか
「同じ名前ですでに何か存在していないか」
すでに同じ名前でプロダクトがある場合は、避けた方が無難だと思います。 検索をして、プロダクト名がそのまま表示されないことを確認しておきましょう。
「ユーザーが不快にならないか」
解釈の仕方によっては差別的な表現になっていないか、誰かを非難するような名前になっていないか、確認したほうがいいと思います。
自分の感覚では大丈夫でも、他の立場の人がみたときに不快感を覚えそうなものはやめたほうがいいと思います。誰か他の人に名前の案を伝えてみて反応をみてみるのもいいですね。あと、辞書を引いて別の意味が含まれていないかなども確認しておくとよいです。
「検索にヒットしやすそうか」
プロダクトを普及させるには、検索にヒットしたほうがいいですね。
ターゲットユーザーが抱えている課題や悩みに関するキーワードが入っていると普及させやすくなると思います。
そういう意味では、僕の「Mooback」はあまりよくない名前です。
検索を意識する場合、本当はMoo「d」まで入れる方がよいのです。
ただ、そこは理解の上でMoobackに決めました。
自分の優先度として、普及はゆっくりとしていけばよい、というものがありそれよりは名前の覚えやすさや口にしたときの気持ちよさを優先させた結果ですね。
「わかりやすいか、覚えやすいか」
覚えやすさは重要ですね。ブログやYoutube、いろんなメディアにプロダクトの名前が表示されていくことになると思います。
メディアの中で表示された名前をみて、ひと目で覚えられてしかも、中身が想像しやすかったら最高です。
Moobackはあんまりよくない例ですねw
名前が「キャッチー」であるかどうか、なんて検討しているときはわかりやすさや覚えやすさを考えているときです。
「ターゲットユーザーの好感度はよさそうか」
万人ウケする名前を目指すよりも、想定している利用者に刺さりやすい名前であるかも考えておくといいと思います。
世代や性別、国民性などプロダクトのターゲットとしている人たちがどんな人々なのかを今一度振り返りながら名前をへらしていくとよいでしょう。
「カタカナやアルファベットに変換されたらどうなるか」
自分が想定している名前はときとして、違った文字で表示される場合があることもここで考えておくとよいでしょう。
カタカナやアルファベットになるとどうなるのか?を実践してみるのです。
自分のWebページにロゴとかであえて英語で書くこともあると思いますし、ユーザーさんが口コミやSNS上で発言するときに文字そのものが変わった状態で拡散していくことも考えられます。
そうなったらどうなるかということを、今の時点で考えておいて違和感がないかを確認しておくのです。
「打ち間違いやすい文字や単語が含まれていないか」
ユーザーさんが何かに書くときに打ち間違いが発生すると、残念です。
アルファベットだと、同じ文字が二つ以上続いたりしないか?とか LとRとどっちだっけ?とか。
漢字も難しい感じはできるだけ使わない方がいいですね。
「想定している使われ方をしたときに見栄えがいいか」
たとえば、iOSのアプリだったらAppStoreにその名前候補が表示された状態だとどう見えるのか、実際に試してみるといいと思います。
AppStoreのスクリーンショットをとって、そこに名前を置いてみるのです。
そこで違和感があるようなら、こね直すか、別のものを候補にしましょう。
ついでに、余談ですが、ストアに登録するサブタイトルや説明文なんかも軽く考えておくといいかもしれません。
すべてのフィルタをしっかり適用すると、どの候補も通らなかった、みたいなことが起きるかもしれません。
大切なのは、自分が名前を考えていく過程で何を優先させ、どのように考えたのかを説明できるくらいの状態になっていることであり、そこに自分ならではの「納得感」が生まれていくのです。
この「納得感」は次の「きめる」ことにつながっていき、そしてプロダクトを継続させていくためにとても大切なことになります。
きめる
最後が「きめる」です。
何を優先させるのか?によってどれにすべきなのかも変わってくると思います。
自分のプロダクト開発で名前を決めることに関していうと、結局のところ自分で開発をして進めていくことになることから、自分の気持ちや志が維持できるかということが最も大切だと私は思います。
名前に愛着をもてることが大切です。
「この名前が好きだ」というのがあったら、とにかくその気持ちを優先させたほうがいいと思います。
自分が気にいってない名前ではそもそも続けていくことも難しいと思っています。それでは本末転倒です。名前に魂がこもらないのです。
ある意味、プロダクト開発に対する自分の覚悟が、名前を納得して決めることで定まるのかもしれないですね。
ネーミングをするときの心構え
オマケといったらなんですが
最後に心構え的なところを書いておきたいと思います。
ネーミングは意外と時間のかかる行為です。
最低でも 1ヵ月ぐらいの期間は決めるのに必要だと思っています。
名前そのものはたかだか数文字程度のものですし、 簡単にみえるかもしれませんが、名前を考えて決めていく行為は意外とエネルギーと時間を使うんですよね。
なかなか自分で納得ができるよい名前は出てこなくて当然だと思っています。
「ねかせる」でも書いていますが、自分が「考える」モードになるのって結構時間がかかるんですよね。
もしかしたら、回数を繰り返せば手早くできるようになるかもしれないですが、最初はだいぶゆっくりだと思います。
私は、1日に30分だけやる、と決めて少しずつ名前を考えるようにしています。
個人でプロダクト開発をしている場合は、例えば、1日のうち、30分だけネーミングに時間を回す、といった形でサブタスクとして切り出し、開発と並行して時間をかけて進めていくのがオススメです。
30分と決めたら、30分以上は決してやりません。
そして、ひととおり、開発が終わる頃には名前も仕上がっていることを目標にしてゆっくりとでも進めていく感じです。
あれこれと書きましたが、とにかく考えるプロセスの回転数をあげて、個数を出していきましょう!
もし、お名前でお悩みで、ハマり気味でしたら私が壁打ち相手になります!
お気軽にお声がけください。
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